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なわのフィーリングは「数値」で選べる時代へ

なわのフィーリングは「数値」で選べる時代へ

「跳びやすい」と感じる理由は、なわのどの要素にあるのか?

この問いを探るために、私たちは数多くの物理試験と実際の跳び心地の感覚を照らし合わせながら検証を進めてきました。

その結果、私たちはついに、なわとびのフィーリングに直結する3つの数値要素にたどり着きました。

それが、

  1. なわの形状(断面と厚み)
  2. 跳ね返り(反発力)
  3. 比重(重さ÷体積)
    の3つです。

なわの形状が空気を切る

第一に「なわの形状」。

円形なのか、中空なのか、角のある断面なのか。

これらは空気抵抗や、腕を振ったときの「風切り音」にも影響し、スピード感やコントロール感に直結します。

例えば、断面が丸くて太めのなわは空気抵抗が大きく、ゆっくりとしたリズムで回しやすく、初心者に向いている傾向があります。

一方で、細くて角のあるなわは空気抵抗が少なく、高速で回るため、上級者が二重跳び・三重跳びなどの技に挑戦する際に適していることがわかりました。

形状は単なるデザインではなく、「跳ぶスピードの自然なリズム」を決定づける要素なのです。

跳ね返りがタイミングを作る

次に「跳ね返り」。

なわを地面に叩きつけたとき、どのくらいの反発力が手元に返ってくるか。この感覚が、タイミングをつかみやすいかどうかに大きく関わります。

反発が強すぎると手に響いて疲れやすくなり、逆に反発が弱いとリズムが取りづらくなる。

つまり、跳ね返りには“ちょうどよさ”があるのです。

この“ちょうどよさ”は、子どもの体格や筋力、ジャンプ力に応じて変わります。

この要素を数値化したことで、「跳びやすさ」は“偶然の感覚”から“選べる性能”へと変化しました。

比重が「感覚の重さ」を決める

最後に、忘れてはならないのが「比重」。

これは、見た目の大きさではなく、密度(重さ÷体積)としての重さを示す数値です。

同じ太さでも、比重が高いなわは“重く感じる”し、低ければ“軽く感じる”。

この「手に感じる重さ」が、なわの“操作感”そのものに直結します。

たとえば、筋力のまだ弱い幼児や低学年の子には、比重が軽くて、跳ね返りも柔らかいなわのほうがスムーズに回せる傾向があります。

一方で、手首の操作が上手な高学年や中学生には、比重がやや高く、コントロール性の高いなわの方が「技をキメやすい」と感じるようになります。

子どもたちに“自分で選ぶ”楽しさを

こうして導き出した数値的な基準をもとに、

私たちは新たななわとびの選び方を提案しています。

名前やデザインではなく、数値から選ぶ。

「比重0.93・反発力弱・太めの形状=初心者向き」

「比重1.10・反発中・細身の断面=中級者向き」

「比重1.20・反発強・角張り形状=技術志向向け」

このように、フィーリングを構成する要素を数値化し、子どもたちや親御さんが「今の自分に合ったなわとび」を自ら選べるようにしたのです。

それはまさに、「選ばされる道具」から、「自分で選ぶギア」への進化。

使う道具を自分で選ぶという行為は、それ自体が“自立”であり、“挑戦”でもあります。

「跳べる」を超えた、なわとびの可能性

なわとびは、単に跳ぶだけの道具ではありません。

“身体を使う感覚”を学ぶ入口であり、“できる”を感じる自己肯定感のきっかけであり、そして“挑戦したい”という気持ちを育てるトリガーでもあります。

その中で、数値化というアプローチは、感覚に頼るだけでは届かなかった新たな理解をもたらしました。

これからのなわとびは、感覚と数値を両立した道具として、もっと子どもたちの可能性を引き出せる存在になると私たちは信じています。

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